【連載記事】虹の向こうに⑥
写真は今年5月2日、あしなが育英会の陸前高田レインボーハウスでのワンデイプログラムを終えて、気仙沼方面に向かう車窓から撮った1枚です。国道340号線と国道45号線高田バイパスの交差点の手前で、あの「奇跡の一本松」のすぐ近くです。
2011年秋、作業ボランティアで初めて高田を訪れたとき、ただただ広大な空間が広がる中に、県立高田病院の建物や、鉄骨だけになったスーパーマイヤ、キャピタルホテル1000などが、ぽつん、ぽつん、と点在し、その向こうに海が見えました。一本松ははるか遠くからでも、その姿を認めることができました。
昨年ごろから、このあたりの風景は変わってきました。高台宅地造成の土砂を運搬するための巨大なベルトコンベアーが張り巡らされ、盛り土が行われ、もはや海を見通すことはできません。一本松は、ごく近くまで行かないと見えません。私はこの街の原風景を知りませんが、いまの様子は高田の人たちにとっても知らない風景なのでしょう。震災後、立ち尽くす一本松の姿に住民たちは慰められたと言いますが、いまはどうしているんだろう。そんなことをぼんやり考えていました。
〜Fuhito (あしなが育英会ファシリテーター)