【連載記事】虹の向こうに⑦ 〜 今回は山田町から
2016年1月末、あしなが育英会が山田町の公共施設で開催した「山田ワンデイプログラム」に参加してきました。
この日集まったのは、子どもたち約10人とその保護者。ファシリテーターは私を含め4人で、彼らの自由遊びにとことん付き合いました。終始体を動かしエネルギーを爆発させている子がいれば、お絵かきや手芸など静かな遊びに徹する子、両方を行ったり来たりする子とさまざまです。
子どもたちは、その時々の感情をあらわにしても、大人のように不安を明かしたり日ごろ考えていることを述べたりすることはあまりありません。だからこそ、私たちファシリテーターは、彼らがどんな遊びを好んでいるかや、言葉や態度などで、どんな状態なのか感じ取ろうとします。
震災から5年、子どもたちは大きくなりました。1歳数カ月だった子が年中さんになり、就学前だった子が小学校低学年。当時は言葉すら持たなかった彼らが、ほんの時々、震災や津波への不安や、大切な人が亡くなったことについて口にする瞬間があります。ほろりとこぼれた言葉に、私ははっとさせられ、ただ静かに耳を傾けます。
写真は、5年生の女の子が一緒に遊びながら私に作ってくれたカラーゴムのブレスレット。「あげる」と言った彼女の声の優しさを、これを見るたび思い出します。
〜Fuhito(あしなが育英会ファシリテーター)