【連載記事】3.11を覚えておく雑記帳。最終回
なんとか帰宅し、携帯ラジオをつけっぱなしで眠った。停電で暖房は使えず、コートを着たまま布団に入った。数日間は友人や近所の人たちと、食べ物や水、カセットコンロやお風呂をシェアして過ごし、「自分一人で生きているわけではない」とつくづく実感した。ちなみに、私が住んでいた地域でガスが復旧したのは約一ヶ月後。県外のガス業者が復旧作業に来てくれた時は、言葉では表現しきれないほど感謝した。ただ生きるだけでも簡単ではない、ということを忘れずに謙虚に生活していきたい。
これを書いているのは、震災からちょうど5年目の2016年3月。復興をめぐっての様々な対立や争いが絶えないことがとても辛く感じた5年間だった。意見が合わない人たちでも、遠い遠いどこかで間接的にお互いを助け合っていることもある(と思う)ので、価値観の違いで正面衝突せずにそれぞれの選択を尊重し、ちょうどいい距離感を探すことが大事になのでは、と思う。
そのようにして、様々な人が穏やかに日々を暮らすために、工夫と試行錯誤をしていくことが3.11を忘れないことに繋がると私は思っている。
(2016.3.30)