「アマビエを届ける。」⑧〜青森市「cafe 0371」様
「アマビエを届ける。」の8回目は、青森市「cafe 0371」さんです。小山内さんと出会ったのは、震災があってすぐの頃でした。なので、結構長いお付き合いになりますね。長くカフェでtovoのチャリティグッズを販売してくださり、また、フリーペーパーも飴を付けて配布してくださるなどの工夫をして、本当に多くの方にtovoの活動を広げてくださっています。ご夫婦揃ってお酒が好きだという小山内祥子さんにも、しっかり疫病退散のアマビエをお届けしました。ちょうど小山内さんの誕生日にお伺いしたこともあり、誕生日プレゼントにもなってしまいました。
cafe 0371 小山内祥子 インタビュー
(インタビュー日:2020年5月14日(木)・インタビュア:小山田和正)
お誕生日おめでとうございます。
祥子「いやー、ほんとありがとうね。うちはお酒が好きなんですよ。お酒が夫婦間のコミュニケーションになってるんですよ。嬉しいです。」
今、お店はどんな感じで営業をされているんですか?
祥子「緊急事態宣言を受けて、ゴールデンウィークはお店を閉めてました。
ずっとやりたかったことなんですけど、SNSを知らない、特に1人暮らしの方にも、これを機会に『テイクアウトしています』と発信し始めました。先ずは、看板近くにメニュー板設置と口コミから始めました。
テイクアウトは、常連のお客様やSNSからのご注文で10組ほど(5/14現在)ありました。
ご来店ゼロの日も連日あります。和室もいつもは2組可能ですが、3密を避ける為、1組にしています。満席にならないようにご来店をお断りしたこともありました。とても申し訳ない気持ちで私もショックを受けますね。
スタッフさんには4月からお休みして頂いてるところなんです。青森に感染者が出始めた時に、スタッフさんの方からね、お店休まないんですか?って聞かれて、それで、休んでいただくことにしたんです。その頃からお客さんもだんだんいらっしゃらなくなりましたね。
お店のコンセプトが『場所の提供』という気持ちでやってるのにね、場所の提供をしたら、コロナの感染者が出ちゃうかもしれないということだから、どうしたらいいんだろうって頭がゴチャゴチャになっていますよ。思いも寄らない気持ちになるんだなぁと。頑張りたいけど、頑張ったらダメみたいな。」
ちょうどお庭の手入れをしていらっしゃいましたね。
祥子「そうそう、もし、お客様がいらっしゃったら、こんな時だからこそ、お店が綺麗に手入れされてたほうが気持ち良いだろうなぁと思って、今まで忙しくてできなかったことをやっています。普段より忙しくて重労働ですね(笑)時間があるから面白いし、お父さんとも話をする時間があるし。
あと、近所の方でも、お店がどこにあって、いつ開店しているのか分からないって方もいらっしゃったんですよ。発信しなきゃいけないなぁと思って、徹夜でウェルカムボードを作ったりしてて。それで初めていらっしゃる方もいました。そういうことを準備していますね。小さなことでも気になっていることなんかに時間を使っています。」
経営的な心配もありますか?
祥子「もちろん、ありますよー。月々の支払いができないんですもの。そうそう、さっき給付金の郵便が来て、ちょうど今日入金になったところで、銀行に確認にいかなきゃって話をしていたところでした。
自由ヶ丘のカフェ『小粒』さんとも経済的な話や普段と違う作業が困難なこと等々、情報交換をしています。他では、話せないことを同業者と出来ることは、心強いし、安心だしありがたいことですね。」
今、不安に思っていることはありますか?
祥子「スタッフさんにいつから勤務をお願いするか、そのタイミングを悩んでいます。
給付金入ったとしても月々の支払いでなくなってしまいますし、来てもらってもお手当払えるかなぁとかね。もちろん、スタッフさんたちのそれぞれの都合もあるじゃないですか。スタッフさんのことが一番気がかりです。
スタッフさんがいらっしゃったからこそ、毎日楽しくやれてたんですよ。だからこそ、これからも楽しく、気分よくやりたいですよね。」
小山内さんに話を聞いてもらいたいっていう常連さんが多いイメージですが、そういう方は今どうされているんでしょうか?
祥子「私はわざと連絡してないんですけど、いつも案じてます。そういう方は5時過ぎとかね、誰もいない時を狙っていらっしゃるんです。心配してた頃に。だから、ずっと7時まで開けているんですよ。いつも通りに開けてるんです。
私たちはどうにか食べていけるからいいけど、子育て中の方とかほんとに大変だと思います。今、テレワークになってお父さんも家にいるでしょ。今まで昼間はお母さんと子どもたちだけだったのにね、生活スタイルが変わってしまった。だから、みんな大変なの。うちは、そういう方の逃げ場所にもなってるんですよ。」
数ヶ月先のこととか、将来のことを考えたりしますか?
祥子「お客さんの気配を感じながらの毎日なんです。お客さん来た時にすぐに食事を出せるようにしたいんですけど、現状、どう準備していいのか分からないんですよね。
今まで通りにいかないから、準備のことで頭がモヤモヤして落ち着かないんですよ。ずっと不安ですよ。準備の仕方が分からないって日が、毎日続いているんです。いろいろ計算しなきゃいけないから、準備が全然楽しくなくて。
だからね、お父さんにも私は毎日イライラしてるからって言ってるの。こういうのも新型コロナウイルスによる心の病気ですね。全然落ち着かないの。
この状況の中で気付いたことがあります。世界中の自然災害、東日本大震災、福島原発の被災者の方々のお心の中がやっと少し分かりました。
一言では表現できませんが、前進したくても出来ないもどかしさを抱えながらの日々が続いています。私は、家族も元気ですし、住む家もある…ただそれだけで幸せなはずなんです。何かが「私」を試しているようです。
ネガティブとポジティブを繰り返しながら、cafe 0371は進化します。」
(終)