さるたさんのおうち
今回の「ちんとぼ⑨」では陶工房ゆきふらし(青森県五所川原市金木町)さんを紹介させて頂きました。猿田さんご家族との付き合いは、2014年9月発行のtovoのフリーペーパーtovo plus No.030 にご協力頂いた時からはじまります。以降、猿田さんたちは「陶工房ゆきふらし」が出店する全国のイベントにtovoのチャリティグッズを持っていって販売してくれました。
猿田さんは、僕が出会った頃から既に自分たちで家を建てはじめていました。「ちんとぼ ⑨ 」の動画のような調子で、お二人はよく「家」の話をしてくれました。その話を伺っているうちに、僕もだんだん猿田さんの作る「家」に興味を持つようになりました。それは一般的に言われる建築物としての「家」ではなく、もっと広義の「家」であったように思います。
五所川原市出身ではない猿田さんご夫妻が、さまざまな縁、条件が整って、五所川原市に移り住み、そして、この場所に窯を構え、この場所に自分たちの手で「家」を建てようとしていることに、僕はとても惹かれました。今思えば、10年程前、二度と戻ってきたくなかった五所川原市に戻り、なんとかこの場所に相応しく生きていこうと苦しんでいた僕自身を、猿田さんたちに重ねていたのかもしれません。
猿田さんの家ができるまでの間、それを定期的に写真に記録し、それを冊子にまとめてみたいと思い、2015年秋から度々通いはじめました。物理的に「家」が建っていくことと、猿田さんのご家族がこの場所にだんだん深く広く根を張っていき、大きな大きな木に育っていく、そのご家族の時間を何かに残したい、残さなければと思ったんですね。きっとそれは僕自身の抱える問題の答えになっていくのかもしれないと考えました。そして、時間のある時にフラッと立ち寄り、家の進行状況を記録していきました。
はじめは3年くらい通う感じかなと思っていましたが、それ以上の時間がかかったことは猿田さんも「ちんとぼ ⑨ 」でも語ってくれていますね。そうこうしているうちに、僕自身も歳を重ねて、仕事でも私事でもいろいろな役目を任される立場になっていきました。だんだん自分の時間を持つのが困難にくなっていったんですね。それに伴って、僕は猿田さんのお宅に伺う時間と、心の余裕を失っていきました。
さらに、「ちんとぼ ⑨ 」でも語ってくれていますが、とにかく後半の追い上げのスピードが凄まじく早かったんです。僕が忙しくしているうちに、あっという間に家は、今の状態になってしまったという感じでした。つまり、いろいろと長々と書きましたが、全て僕の言い訳、結局、僕は経過を追いきれなくなってしまい、僕の計画は頓挫しました。
僕のPCには「さるたさんのおうち」と名付けられたフォルダに、数年間にわたるたくさんの家の写真が残っています。今後、公開する機会もないと思うので、こちら(写真はnoteの方にアップさせて頂きました。)で一部を紹介したいと思いました。なんとなく、時間の経過というものを感じて頂き、また、「ちんとぼ ⑨ 」を見直してみると新しい気づきがあるかもしれません。
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2021年4月28日(木)〜5月2日まで、五所川原市「太宰治疎開の家」にて「陶工房ゆきふらし」さんの展示会がございます。
たのし・ふるし・いとおしむ暮らし
陶工房ゆきふらし x 古家具グリュノア展
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のみものや わんどさんの出店(体に優しいのみもの。ゆきふらしの器で飲めます。)
もございます。
★先着30名様限定★
3,000円以上お買い上げの方に左馬小皿(特製非売品)進呈
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