【連載記事】虹の向こうに⑩
2018年12月15日(土)16日(日)の2日間、あしなが育英会主催、陸前高田レインボーハウスで行われたクリスマスワンディプログラムに参加してきました。
11月初旬、初めてファシリテーター講座を受講させていただいてから約ひと月。講座で出会ったあしなが育英会スタッフさんのスキルの高さに感服して、少しでも見習いたい気持ちや、一緒に受講した皆様にまた会いたい気持ち、そして、自分にできることがあるなら「そばに居てくれる存在」を感じてもらえるよう、行動に移していくことだと思っていたので、多少緊張しながらも足取り軽く新幹線に乗りました。
盛岡から一ノ関まで各駅停車に乗り換えて1時間半。途中にぎやかに乗車して来た地元の中学生集団のたわいもないお喋り聞きながら、これからプログラム会場で出会うはずの子供たちはいったいどんな子たちなんだろうと思いを馳せながら、窓の外の景色を眺めていました。地元を出るときは雪景色でしたが一ノ関についてみると打って変わって穏やかな日差しと雪が殆どない光景のなか、集合場所にはファシリテーター養成講座で一緒に居た懐かしい顔、初めましての運営スタッフさんが優しく迎えてくれました。一ノ関駅からワゴン車やタクシーに分乗して陸前高田レインボーハウスへさらに1時間ほど。山間の道を走り、目的地が近づいたとわかったのはやけに広い空とプレハブめいた店舗や手作りの看板があちこちに見えてきたから。載せてもらったタクシーの運転手さんや、以前も参加したことのある先輩ファシリテーターさんの話を聞きながら(やっと来れた…)そう思いました。
3月11日、震災当時、携帯電話もつながらない、メールも届かない状況でツイッターだけは使えていて、停電しているなか、バッテリー残量を気にしながらも様々な見知らぬ人の助けを求めるツイートを見ずにいられなくて、それに対して何もできない歯がゆさを思い出していました。あれからもうすぐまる8年になろうとする今、やっと。です。
初めて来た陸前高田レインボーハウスの中はとても居心地よくしつらえられており、クリスマスの飾りつけにも心使いが感じられて暖かい楽しい気分が広がりました。
まずはスタッフさんからの2日間のおおまかな流れと注意事項などの説明、参加者同士の自己紹介・ファシリテーターとしての気持ちへの切り替えタイム。
打ち合わせが終わるあたりから早く到着した子供さんの元気な声が響きはじめ…。
「子どもさんが一人になることがないよう、常にファシリテーターがついて見守るように」
この時の参加者は確か45~6名と大人数だったそうで、ファシリテーターや運営スタッフと参加者ご家族はほぼ半々でした。お子さんの年代は小2~19歳、その保護者の方も含めて大きな輪になって始まりの会。簡単な自己紹介とレインボーハウスでの過ごし方ルールを確認しあい、アイスブレーク(打ち解けるためのBINGOゲームなど)で盛り上がって過ごしました。夕食までのお楽しみタイムが始まると活発な小学生男子は大ホールで若いボランティアファシリーテーターのお兄ちゃん、お姉ちゃんと休みなしにボール遊びしていたり、女の子はピアノを弾いてみたり将棋ゲームに興じてみたり本や漫画を読んでみたり…。
参加されたボランティアのファシリテーターは大学生さんや若い方が多かったですが、同様のプログラムに参加された経験者は顔見知りの子供さんとの再会を喜びあい、すっととけこんで馴染んでいくなか、私はと言えば、おろおろうろうろ…。館内をあちこちと探検している様子の男の子につかず離れず、様子を伺って話し掛けてみようか、でも何を?向こうから何も言わないのは今はかまわないでそっとしておいて欲しいってことか?
どうしていいか解らず、でも、何かやりたい遊びがあるなら相手しますぜ?オーラを出し(てるつもり)て移動する彼のあとをついて回っているだけでした。そのうち、ボール遊びに興じる声に誘われたのか、そちらのグループに入って楽しそうに遊び始めた彼を眺めながら(私なにやってんだろ…)
夕食の時間、交代でお風呂タイムをわいわいと過ごし、寝る準備ではホールに大きなテントを3張り立てるのに進んで手伝ってくれるティーンエイジャーの子、小さな体でお布団をえっちらおっちら運んでボランティアと一緒に寝る子、ご家族用部屋に寝る予定を変更してホールでみんなと寝る!宣言して保護者を驚かせた子…。
2日目も朝からいいお天気で、ちゃんと時間までは騒がずおとなしくしていた子供たちの姿に、以前から参加しているボランティアは口々に「成長したねぇ…」
みんなで食事するスペースの壁に描かれた大きな「あしながおじさん」。その上からたくさんの落書きがあり、見ると日付と名前、測った背の高さの印なのでした。眺めていると同じ子の名前があちこちにあってまさに成長の証。仲良くなったボランティアさんに肩車してもらって測った印を見たとき、このレインボーハウスの意義が分かったような気がして、今回なにもできなかった自分がこれから参加回を重ねて少しずつ子どもたちと一緒に成長していけたらいいな、そうならなきゃな、と思いました。
2日目には、毎年寄贈頂いている企業からの大きな大きなクリスマスケーキをご馳走になり、サンタさんからのプレゼントを受け取った子供たちがマイクロバスやマイカーで帰っていくのをボランティアやスタッフみんなで「またね!元気でね!」と見えなくなるまで手を振ってお見送り。
窓から身を乗り出すようにして手を振り返してくれる子供たちの姿に、(何か役に立てることがあれば…)と意気込んできた私は逆にたくさんの励ましをもらってきたように思います。
〜川畑富美子(あしなが育英会ファシリテーター)