【連載記事】3.11を覚えておく雑記帳。③
2011年3月11日の午後、仕事で銀行に行った。金曜日だったので、週末のことを考えて浮かれていた。銀行に着き、番号札を引いたあたりだっと思う。一瞬、頭が真っ白になるような大きな横揺れが起きた。歩ける状態ではなく混乱の中、息を飲んで揺れが収まるのを待つしかなかった。起きている事態に感情がついて来ず、意外と私は冷静だった。情報処理で脳が手一杯で、感情というアウトプットまで出来なかったんだと思う。隣にいた女性と一緒に筆記台の下に隠れながらネットニュースを見ていた。そして銀行は停電。今日はもう営業できないと言われた。
銀行での用事はやや急ぐものであったので、どう上司に報告しようか悩みつつ会社へ戻ることに。銀行の外に出て、私はやっとそれどころではないことを理解した。商店街に散乱するガラスの破片、悲鳴、それに混じる怒声。
とにかく早く戻らなければ、と急ごうとしたその瞬間、頭上から怒鳴り声が飛んできた。
「上見ろ!!上!!!」
私の頭の真上には、今にも落ちてきそうなビルの窓ガラスがあった。